「フィサリスの三肢がない日常 10」

 ※本編の「蒸気装甲戦線」とはまた一味違った
  この作者様独自の構成の作品となります。
   

私ともあろうものが、うっかりしていたね。マティーはそう思った。
なぜなら、今の彼女は蒸気義肢は四肢ともなく、接続部がケーブルでつながれている状態なのだ。
そして、正式制服はところどころ破れていて、首のあたりや胸の谷間、わき腹が一部見えてしまっている。
はじめは楽勝な任務だと思っていた。ある一軒家にギャングが一人住み込んでいるから、そこを調査しろとのことだ。
しかし、相手が一人だということもあって油断していたのか、
ギャングのアジトに入り込んだとたん、睡眠ガスの洗礼を受けてしまったのだ。

「我々の目的のために人質になってもらう」マティーをとらえているギャングがそう言う。
「どうせ、金目当てでしょ?あぶく銭は身につかないよ」
マティーが皮肉交じりに答えると、マティーの体を、数秒間、稲妻のような衝撃が襲った。
マティーの四肢をつないでいるケーブルは、蒸気義肢を扱うものに対しての拷問器具である。
スイッチ一つで、ケーブルを通して、蒸気義肢のコネクタに、負荷をかける。
そのことにより、蒸気義肢者の体に負担をかけるという、
簡単に言えば、電気ショックのようなものである。
「はぁ…はぁ…女性の扱いがなっちゃいないね」マティーが衝撃に耐えながらも、そう言い返す。
おそらく、服も、ギャングがうっぷん晴らしに破いたのであろう。
ギャングは言い返すだけ無駄化とおもったのか次の作戦を練っているといったところである。
その傍らには、アティ―の蒸気義肢が、両手両足テーブルに置かれていた。
マティーがさて、どうしたものかと思った瞬間、ギャングの真横の壁が大きな音を立てて吹き飛んだ。
ギャングは勢いよく、壁にたたきつけられて、気を失った。

「「先輩、お待たせしました!」」
マティーが見てみると、フィサリスと蒸気蒸気機関によって駆動し強力な蒸気兵器を搭載した鎧「ランス」がそこに立っていた。
蒸気鎧「ランス」は、蒸気機関によって駆動し強力な蒸気兵器を搭載した人が一般的に扱う「戦闘型蒸気歩行兵器」だ。
ランスは、取り回しの良さやバランスを重視した設計だ。乾燥により多様な状況にも対応できる。
「先輩が遅いんで何かあったかと思って、調査していたんですよ。何もなくて幸いでした」フィサリスが笑顔で答える。
「先輩!大丈夫でしょうか!?」
ランスのハッチをあげながら、新人隊員のニーナが言う。その顔は不安と焦りが入り混じっていた。
「あー、大丈夫、ちょっと痛い思いはしたけど」マティーが微笑むながら答える。
ふと蒸気義肢を見てみると、瓦礫の中に埋もれていて、整備が必要な状態になっていた。
これはまた、ミスミに迷惑かけちゃうな そう思ったマティーであった。う思ったマティーであった。




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